建築家の人生はフルマラソンに例えられる事がある。


30才からスタートするという設定。
42.195年経過したらゴールという事になる。

72才とちょっと。
つまり、72才の誕生日を迎えて72日経過した日がゴール。

この時期までに現役で継続できていたならば最高だろう。
現役という設定だから、72才の誕生日を迎えた時期に、いくつかのプロジェクトが継続していれば最高だ。
この段階になれば、胸をはってゴールを宣言してよい。
継続中の物件を引き渡した時点で、きっちりと終える。
それがひとつの目安である。

この時期まで、健康体で生きているのか、という肉体的な問題がある。
すでに死んでいるかもしれないし、寝たきりになっているかもしれない。
もしくは、認知症がでて徘徊しているのかもしれない。
肉体的なもの、正常に動く知能。
クライアントとのコミュニケーションがとれるのか。
そういう問題がまず第一。

その次には、経営的な問題。
そのときまで事務所は維持できているのか、という問題。
開店休業状態の事務所も多く、ほそぼそと事務所登録のみ継続してはいるが、というケースもザラだ。
常にプロジェクトが動いていられるか、という問題もある。
という事は、社会的なニーズに答えられていけるのか、という問題が横たわる。
こればかりは、難しすぎる問題だ。
創業40年を超えてくるわけだから、企業の生存率でいえば、数パーセントにも満たないくらいになる。
途中で法人化をやめて個人事業主に戻ったりするケースもあるかもしれない。

そして、もっとも肝心な事だが、つくりあげた作品が、その時期においても、一定の価値を持ち得ているか?という事。社会的に無価値なものしかつくれないようであれば、延命するのは社会にとっても意味がない。

これらの要件を満たして見事にゴールできた建築家というのは、かぎりなく少ない。

幸いに、私の場合、スタートは29才から。
完走の条件の最初をクリアできた事になる。
つまり、私の場合、71才の誕生日を超えた時期がゴールとみなしても良い。
遅くはじめた人は、そのぶんゴールが伸びるという設定でいいだろう。

そして、現在、18年目。もうじき折り返し点に到達する。
ここまでの段階において、実績としては、完走したとしてもおかしくないくらいの実績を上げられている。
これが、幸運であり不運ともいえる状況だ。

これからどのようなペースで走ればいいのか、自分でもよく見えていない時もある。

冷静になり、まずは、健康。
そして、長期間生存可能な経営。
そして、衰えぬ脳みそ。

同時進行で追求していかねばならない。

まえつんのめりで走ってきた。
これからもまえつんのめりで、つんのめってしまっても、それでよし、という気分もある。

そして、意味あるものをつくれているか。
自問自答する事が増えてきた。
自分自身で決断するか、周辺環境からおもいしらされる日が来るか。
あがくかもしれない。あがかないかもしれない。

自分自身との戦いという事になってしまうのだろう。

今のプロジェクトのボリュームからいえば、折り返し点までは到達できそうだ。
18キロ地点を過ぎたランナー達にはわかるであろう気持ちだ。