人それぞれに成長するスピードは異なる。
環境が違えば、また変化してくるものだ。
できうるならば、加速的に成長できるような環境に身を置きたいと思う。

当社の秘蔵っ子、宗ちゃん。加速成長を続けている。

例えば、日影。これまでの事務所では日影計算する案件を担当しなかったようで、日影計算もやったことがないという。すかさず、JWーCADの日影計算マニュアルを渡す。
最初は難しそうに感じるかもしれないが、ボリュームに高さを設定してあげて、前提条件の数値を入力してあげれば自動計算だ。数時間でマスターした。

続いて、天空率。これも、やったことがないという。
おそらくは、余裕のある案件ばかりだったのだろうと思う。それはそれでうらやましい。
同じくJW−CADの天空率マニュアルを渡す。
同じく最初は難しそうに本とにらめっこしていたが、こちらも、数時間でマスターした。
天空率を使えば、各種の斜線制限がするするとかわせる事に感動している様子だった。
こちらも、日影図と似たような物だ。ボリュームと高さを設定すればいい。

大分大学の佐藤ゼミの出身者は、それはそれは高度な手法を用いて研究している。
都市計画において、定量的な分析を主体として定性的な事柄を評価しようとしているので、必然的にややこしい事ばかりやる必要がある。

佐藤ゼミの指導方針は、それをおこなうに必要な資料を一式渡し、「やれ」。良い意味で乱暴なものだ。
私も、大学4年でゼミにはいってすぐ、メッシュデータを用いた人口分布の研究を受け持つ事になり、
必要な資料やデータ一式渡されて、「やれ」との指令を受けた。

大分市全図の1/2500白地図とゼンリンの住宅地図。全図に250mメッシュを引き、住宅地図をみながら世帯数をカウントし、地区の人口で案分する。夏休みをまるまる使うほどの作業ボリュームだった。
メッシュ毎の人口データが出来たら、データを入力。外部に委託するかなあ、といっていたので、私も意地になり、やりますと。方式に乗っ取って人口メッシュデータをデジタル化した。

続いて、データをマッピングするプログラムを作れ、という。
フォートラン言語を使うという。渡されたのはフォートランマニュアルと、過去の参考プログラム。
作業に没頭し、いつのまにかフォートランを駆使して、様々なマップを出力できるようになっていた。

それから、C言語を使って三次元表記させる。院生になった頃には、C言語を駆使してワークステーションをあやつり、九州全土を描画させているくらいになった。

であるから、院を卒業するときには、就職先の候補として、大手ゼネコンの情報システム部の名前があがっていたくらいのものだった。
もし、そういった部署に就職していれば、今頃はBIM部門のエースとして活躍できていたかもしれない。

それくらい、佐藤ゼミ出身者のスキルは高いのだ。
そういった環境に3年くらいいれば、驚くほどの成長を遂げるのだ。
宗ちゃんもそういった環境で鍛えられていたのであるから、ポテンシャルはある。

当社の環境も佐藤ゼミの伝統を継承し、「やれ」。
そういったものだ。そういう指導方針が絶対的にいいものかどうかはわからないが、実感としてわかるのは、ぐいぐいと成長する。それは事実だ。
そのかわり、まかせた分のリスクは私にふりそそいでくる。リスクに耐えられる範囲まではぐっと辛抱する。

宗ちゃんは、入社してもうじき丸二ヶ月になるが、すでに実施設計をひとつ、基本設計を4つ終えている。
おそらくは、一年もすれば、二桁の作品に関与する事になるだろう。
ぐいぐい成長する一年間になると思う。

佐藤先生の退官である3月15日がいよいよ迫ってきた。さみしい気分が募る。
佐藤ゼミの継承者である我々は、そのDNAを熟成させ、継承させていく義務がある。と意気込んでいる私。

難易度の高い仕事やありえない短期間での仕事。断ってしまえばいいのだが、ときおりはやる。
それによってぐっと成長する。

輪廻転生という概念がある。
なにゆえ、うまれかわり、過酷な人生を再開するのかといえば、魂の成長のためだと説かれているらしい。
霊魂の状態は、ぬるま湯のようなもので、成長できないという。

ぐいぐい成長している時は本人は気がついていない事が多い。目の前の難関をクリアするのに必死だから。
ふとふりかえってみて驚くほどに成長している事に気がつく。

そういった急成長の環境を継続して用意できるように、私も怠けていないで、さらに成長していきたい。
来年の私は身長が3mを越えるくらいになっているはずだ。(これは、鉄板ネタです。なんや、身長かい!とツッコミ)