一人の建築家の生涯作品数について考察してみたい。
大規模な案件であれば、設計から完成まで数年はかかるし、内装デザインであれば数ヶ月で終わるケースもある。一概に比較できるものではないのだが。

建築家の人生をフルマラソンに例える事が多い。
30歳からのスタートとして、42.195年。つまり、72歳近辺まで現役で作れたならば上出来である。

多作、寡作、と、建築家によってポリシーの違いがある。
生涯一作品であっても、建築史に燦然と輝く名作をつくりえたならばそれでよかったりもする。

先般逝去された大分の建築家の山口先生。
40前半で独立されてから、約30年の期間に60数作品を産み出されていた。
独立前の担当案件をふくめれば、もうすこしのびるのだろう。
まさに、フルマラソンを走り終えて、建築家人生を完走し、旅立たれたといっていい。

関西のマエストロ、竹原さんは、150作品を超えて、2010年に作品集を刊行された。
まだまだ現役をつづけられるので、もっと作品数はのびるに違いない。

東京のプロフェッサー、難波さんは、すでに箱の家シリーズだけで140作品に到達されている。
他の作品やプローデュース作品もふくめると、200作品は軽く超えていくのではないだろうか。
おそらくは、難波さんが、最多記録を保持しつづけるのではないかと思う。
驚異的なのは、箱の家の第一号が完成されたとき、もう40代後半であられたということ。
そこからの怒濤の作品数である。

住宅作家という言葉が最もふさわしい中村好文さんは、150作品を超えている。

住宅作家の作品数は150越えになってくるものなんだなあと改めて理解できた。

私が15、5年にして72作品。年間のペースでいえば、4.5件くらいになる。
住宅用途の新築にかぎっていえば59作品。年間3.8件。
年間平均5件を目標にがんばれば、72歳まで現役をつづける事ができたならば、200作品越えが見えてくるだろう。

まあ、このペースが維持できたならば、かなりの幸せ者といっていいかもしれない。
住宅作家でございます、といっても差し支えないだろう。
もっとも、作品の質においては、偉大な諸先輩の足下にも達していないようにも思うが。

だからといっても、ハウスメーカーや工務店のつくる住宅は圧倒的に多い。
我々建築家の作る住宅というのは、圧倒的なマイノリティだ。
住宅街をぶらついても、建築家が介在したであろうとおもわれる住宅は1割にも満たない。
1%いっていればいいほうではないだろうか。

海外においては、建築家のつくるオートクチュールの住宅は、そもそもコストが違う。
日本の建築家は、プレタポルテのコストで、作品づくりに邁進しているらしい。
日本の建築界の特殊事情だと聞いた事がある。
けがれを嫌い、新築一戸建ての神話が残っているからだと聞く。
今後の少子高齢化の進行の状況でどうなっていくのか。悲観的な見方が強いのだが。

当面は住宅新築案件だけで100作品、というものを目標に邁進していきたい。
そして、最低限、健康でいること。さらに、健康的な精神状態をキープする。
まずは、それにつきるのだが。
しばらく中断していた人間ドック入りを再開しようかと思う。
ニーマイヤーのように104歳で現役。その大記録に挑めたならばともおもうが。