タクシーに乗った時、到着までの時間をどう過ごすか、という意識を持っている。


行き先を告げて、黙り込んでいても悪くはないのだが、この一期一会の出会いに何を見出すか。
積極的に話すようにしている。

行き先をつげ、天気の話になり、きれいな車ですね、とかで、スタートする。
運転手さんも話し上手だからいろいろ出張ですか、とか、飲み毎ですか、とか。

先日、なにげに乗ったタクシー、運転手さんは群馬出身の人であった。
お年を聞くと69歳。定年後、夫婦で沖縄に移住したという。
10日前に最愛のおくさんをガンでなくしたという。
ようやく気持ちの整理ができ、仕事に復帰したばかりという。

短い時間であったが、お二人のこれまでの人生のシーンが脳裏に浮かんでくる。
いや、奥さんのためにも、これからの人生をたのしくすごしてくださいね、と、告げる。
移住先の地でひとりになってしまった。若い彼女でもみつけてほしいものだ。

わたしは、いつのころからか、こうやって、初対面の人の懐にすっとはいりこみ、旧知の中のような会話ができるようになった。
先日も、人生の達人の方から、古後さんは、どうしてそんな事ができるようになったのか、と、問い詰められた。
いや、よくわからないんですけども、と、お応えする。

達人の方からすれば、むむ、こやつ、できるな、という第一印象だったらしい。

タクシーに乗って、トーク力を鍛え続けていた成果かもしれない。

そう考えると、47年間でタクシー代として支払ったお金の総額は、トーク力育成講座の授業料代として、生きたお金の使い方になったといえるかもしれない。

このように考えると、毎日が修行。
出会う人にこんにちは、と、明るい笑顔でいい続けていると、ええ声で通りのよい、聞いていてほれぼれする挨拶力がみにつき、輝くような、見ただけですっと快晴になるような最強の笑顔が手に入るのだろう。

最終目標は鶴瓶のような人になりたいとおもうのだが。