スノーボードクロス女子決勝を見た。
九州に暮らしている事と、身近にスノースポーツをやっている知人もいないので、まったくスノーボードの知識がなかったのだが、スノーボードクロスの試合を見て、なんて、ダイナミックなスポーツだろうかと興奮した。ハーフパイプもすごいし、スロープもすごい。
あれだけ空中に舞ってこわくないのだろうかと思う。
平気な感じで飛び回る女子選手をみていたが、転倒でぐったりした選手が運び出される瞬間を目撃する。
ああ、やはり非常に危険な競技だな、と思う。
壊れかけのオジさん、スノーボードをやってみたくなるが、無理はよそうと思いとどまる。

女子クロスで金メダルをとったサムコヴァー選手。予選から圧倒的なスピードだった。ぶっちぎりで金。
どういったテクニックかわからないが、横並びのスタート直後から、ぐいぐいと頭一つ抜け出していく。
天性のものがあるのだろう。

その決勝で、オリンピック無冠の女王、前回の銀メダリスト。
前回も、金メダル間違いないという状況で転倒。
今回も、準決勝一位通過間違い無しという状況で転倒。
よし、勝った、という気持ちが脳裏をかすめた瞬間、なにかに足をすくわれる。

日本選手も、準決勝でスタート直後4位に浮上し、目の前の一人を抜けば決勝。
それが見えた時、転倒。

パトリック・チャンも、羽生君が二回転倒する姿を見て、勝てると思ったのだろう。
最初の四回転を成功させ、いよいよ、勝ちだな、と確信したと思う。
そこから、ありえないくらいにミスを連発する。

自分との戦いに勝つか負けるか。
オリンピックに棲む魔物というのは自分自身の心の中に棲む魔物の事なんだろう。

宮本武蔵の逸話で、勝負の最中、小鳥のさえずりが聞こえるかどうか、というようなクダリがある。
勝ちたい一心で周囲の状況が見えなくなっているとそりゃあ勝てない。
そういう真理が描かれている。

ワールドカップであれば毎年開催される。オリンピックは4年に一回。
これをのがすとまた四年後。これがプレッシャーとしてのしかかるのだろう。

金メダルを期待されすぎてガチガチになった選手はミスする事が多い。
まったく期待されていない選手や、オリンピックを楽しもうとする選手は好成績を残す。

それにしても、サムコヴァーの強さはダントツであった。
圧倒的なスピードとメンタルの強さ。20歳という。
天才とはこういう人の事なんだろうと思う。
どうやってその若さでその境地にたどり着いたのか。
サムコヴァー。マイブームの始まりだ。