桜坂の家@福岡県福岡市、が、もうじき完成しようとしている。

この作品は、私の作品の系統のなかでも、ミニマムな指向性のあるものだ。
外部足場がはずれ、外観が姿を表した。
その表情を見て、ああ、狙い通りにいったな、と、内心、興奮した。
その効果は、如実であった。

近隣、もしくは、全面道路を通る人が、たちどまり、横の路地から入ってきて、しげしげと見つめているという。
福岡の桜坂といえば、高級住宅街。
建築家の渾身の住宅作品があちこちに点在する地域でもある。
こういった場所において、土地込みで一億円コースというのが平均値と聞く。
このような場所において、半分くらいのコストで、どのような住宅を作りうるか。
私の狙いとしては、桜坂でもっともコストパフォーマンスが良く、最もミニマルな住宅。
それが、このプロジェクトの命題であった。
その狙いは、ほぼ達成されたように感じている。
そして、卍型というべきスタイルの完成形が出来上がったのではないかと、感じている。
ミニマムな表現で居住環境をバランスよく実現できうる手法といっていい。
そして、興味深い事といえば、理想型のプロトタイプから、クライアントの要望や、法的な制限のため、スタート時点から様々な変化をとげてきたのだが、その変化によって、よりよい形が見えてきたという点である。
外構工事に突入しているが、植栽などが加わって、より、美しさが増すだろう。
ミニマムなスタイル。
個性の表出の激しい地域において、逆説的に、こういった、ミニマムな表現のほうが、突出して存在感を示しうる。
パッシブなスタイルの完成形を中の島の家とすれば、ミニマムな卍スタイルの完成形は、桜坂の家となる。コートハウスの完成形を鶴見の家とできるし、RC外断熱パッシブハウスの完成形は豊岡の家2、という事になる。
今年は、いくつもの完成形が出現した。
これからつくるものは、これら完成形のバリエーションとなるかもしれない。
もしくは、それぞれが融合したものになるだろう。
これを生涯作っていくとなったとしても、満足できる。
そういった作品になったように思う。